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Profile


1999年入社。以後アコースティックギター設計・開発を担当。FG(2005年)、APX/CPX(2006年)の企画開発設計などを手がけた。2010年にギター生産・商品担当で杭州ヤマハ赴任。

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——NXシリーズはどんなコンセプトで開発されたのですか。

ヤマハは優れた木工技術と先進的な電子・エレクトリック技術の両方を持っており、この2つを組み合わせることでAPXやCPXシリーズなどクオリティの高いエレクトリック・アコースティックギターを送り出してきました。しかしナイロン弦に関してはほとんど踏み込んでいませんでしたので「本格的なナイロン弦専用設計の新しいエレクトリック・アコースティックギター」というコンセプトでNXシリーズの開発が立ち上がりました。

——ナイロン弦というとクラシックギターを連想します。

たしかにナイロン弦=クラシックギターと考えがちですが、実はナイロン弦のギターはクラシック以外のジャンルでも多く使われています。ジャズやポップスはもちろんですが、ロックでもよく使われますし、ラテン系の音楽、特にボサノバやフラメンコでは主役と言っていいでしょう。それなのに、いままでナイロン弦専用のエレクトリック・アコースティックギターはほとんど存在していなかったんです。

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——デザインのコンセプトを教えてください。

いろんなジャンルのギタリストに手にしてほしかったので、どんなジャンルにもマッチするようにシンプルで、かつ高級感のあるデザインを目指しました。本体の色を明るくし、ヘッドも先絞り型にすることで伝統的なクラシックギターとは対象的なコンテンポラリーなイメージにしています。全体的に明るめの色ですが、細部では意識的に黒を使っています。黒を使うとロック系にもマッチするシャープで引き締まった感じになるんです。たとえばボディのバインディングや糸巻きの軸、それにボディ内部に貼ってあるラベルも黒にしました。黒のラベルは意外に珍しいと思います。

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——デザインで特にこだわったのはどのポイントですか。

サウンドホールです。ボディの中心にあってそのギターのイメージを決定づけますから。NXはギター自体がシンプルなので、特にサウンドホールの役割が重要でした。このデザインは自分で絵を描いて考えたのですが、明るい太陽をイメージしています。サウンドホールの象嵌はマホガニーで、そこにレンガ色の木材であるパドゥク(花梨の一種)を入れました。さらに光る素材であるアワビ貝をあしらって若干の緊張感を注入し、バランスを取りました。ちなみにサウンドホールのデザインには別案もあって、なかなか捨て難いものもあり、かなり迷いました(笑)。

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製品化しなかった別案のサウンドホールデザイン案

——試奏しましたが、とても弾きやすかったです。

弾きやすさには徹底的にこだわりました。たとえば弦高ですが、通常のクラシックギターよりも低めに設定することで、かなり弾きやすくなっています。弦高を下げるとネック調整がシビアになりますので、ネックにはスチール弦と同じようにアジャスタブルロッドを入れました。

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——音の面での特長はどんなところでしょうか?

サウンド面での最大のポイントは、ナイロン弦用に専用設計したピックアップシステムです。ここまでナイロン弦の良さを活かしきったピックアップシステムはこれまでなかったと思います。

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——ピックアップにはどんな工夫があるのですか。

システムとしてはアコースティックギターのリアルな響きを実現できるA.R.T.(Acoustic Resonance Transducer)を採用しました。すでにスチール弦のエレクトリック・アコースティックギターに搭載されて高く評価されているものですが、NXではナイロン弦専用に設計し直しています。実は最初、スチール弦用のピックアップシステムをそのまま取り付けてみたんですが、全く味気のない音になってしまいました。予想通りだったんですけどね(笑)。ナイロン弦の音色の一番重要な部分である「豊かで艶のある中域」が再現できなかったんです。スチール弦のギターはいわゆる「ドンシャリ」、つまり低域と高域が重要ですが、ナイロン弦はむしろ中域が命。そのために試行錯誤を繰り返し、ピックアップの数や位置、プリアンプの音色を決めていきました。ナイロン弦のギターは弾き手によってギターに要求する音色が大きく違ってくるので、プリアンプの操作系も変更し、中高域と中低域を独立して調整できるようにしています。

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——開発を通して「やっていて良かった!」と思ったことはありますか?

このギターは試作段階から多くのアーティストに評価してもらいましたが、特に印象深いのはRodrigo y Gabriela(ロドリゴ・イ・ガブリエラ)ですね。彼らは存在自体がユニークで、そのイメージがNXにぴったりでした。2本のナイロン弦ギターだけで観客たちを立たせて踊らせるので、彼らにとってPAからのサウンドが重要なんですが、NXのハイクオリティなピックアップシステムは彼らの音楽にベストマッチで、二人にとっても非常にエキサイティングなようでした。それからジャズでは大御所のリー・リトナーがNXを愛用してくれています。ブルーノート東京のライブを見に行った時、リトナーがステージで自分達の持ち込んだNXを弾いたのを見たときは感激しましたね。やっていて良かったと思いました。

——堀さんのギター歴を教えていただけますか。

高校時代はエレキを買っただけでろくに弾かずに終わり、大学時代にアコースティックギターを弾くようになりました。レッド・ツェッペリンの曲でアコースティックギターが入った結構アイリッシュっぽいのとか、意外とそんなのが好きだったり、それとブラック・クロウズなんかも好きで、泥臭いロックなサウンドに乾いたアコースティックギターが入っている感じにも惹かれました。でもいわゆる「ギターマニア」じゃなかったですね。ギターの設計者の中では珍しく、学生時代にバンドもやってませんでしたし。

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——ギターマニア的でない部分が、いい意味でNXに反映されているように思います。

今思えば無意識でしたが、NXのコンセプトを検討した時、既存のギターを下敷きに考えたりはしなかったですね。今でも実際ギターよりも、服や雑貨、家具とか、そっち方面に触れていることの方が多いですから。そういった部分は反映されているかもしれません。

——今後はどんなことに取り組んでいきたいですか?

今専念しているのは、ギターの設計に関するデータを収集してデータベースを構築することです。設計やノウハウの曖昧だった部分、感覚的だった部分をできるだけ数値や計算式に落とし込んで、生きたデータとして使えるように体系化したいと思っています。設計者が各々持っているデータやノウハウを一元化することで「知の共有」を行い、ネットワークを介して瞬時にアクセスできるようなシステムを目指しています。今私は中国の生産拠点にいるんですが、生産現場と設計のやりともにもスピードが要求される時代ですし、なによりノウハウを一元的に集積することで、ヤマハのギター作りに関するフィロソフィーを明確にできると思うんです。メーカーとしての生き残りをかけて、国内と海外の拠点を結んだ戦略的な開発体制を構築したいですね。

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——最後になりましたがNXシリーズをどんな風に弾いてもらいたいですか。

ナイロン弦のギターは弾き方によっていろんな音、いろんなニュアンスが出せます。それにいろんなジャンルで使えますので、エレキギタープレヤーやスチール弦のギタープレイヤーの方にもぜひ弾いていただきたいと思います。お近くの楽器屋で実際に手にとっていただき、そのサウンドと弾きやすさを体験してみてください。

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Editor's Comment

ボサノバが好きでよく聴いているのですが、いつもナイロン弦の甘い響きに心を奪われます。「いつかナイロン弦のギターを弾きたい」と思いつつ、でもクラシックギターは敷居が高いのでそのままにしていたのですが、NXはそんな私にドンピシャ。マイクを立てなくてもリアルな音がケーブルで出せるし、デザインもコンテンポラリーだし、何より弾きやすいし。さっそくアンプラグドのライブをやってみたくなってしまいました。

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