BBDによるアナログディレイは、今も多くのギタリストに愛されています。そのトーンは暖かみがあるローファイで、霧のようにふっと消え行くような感じもあります。このテイストがギタリストの心をつかみ、80年代独特のトーンを常に探し求めているプレイヤーは決して少なくありません。当時のリフやソロを彩っていたのが、まさしくアナログディレイのトーンだったのです。Fluid Time MKIIは、こうしたアナログディレイへの期待に応えるために開発しました。第1世代のFluid Timeのリリースは2011年。そのトーンと機能で幅広い支持をいただきました。その後数年間はさらに機能やサウンドを改良するために開発を続け、2016年のNAMMショウでFluid Time MKIIを発表しました。
Fluid Time MKIIはトラディショナルなBBD遅延素子による暖かみがあり、ローファイなアナログテイスト満載のトーンです。また、非常にクリアなトーンや高域をしっかり抑えた柔らかなトーンにもできます。ディレイ部分の構成は極めてユニークで、再発モデルのMN3208 BBDチップを5個使用しています。これにより、最長700msのディレイタイムを実現しました。比較的長めのディレイタイムを実現したことで、よりクリエイティブなエフェクトを作り出すことができ、Fluid Time MKIIが活躍する範囲も広がりました。
Fluid Time MKIIのディレイ部分は純粋なアナログ回路ですが、コントロール系はマイクロコントローラーによるデジタル方式です。オーディオ信号経路にはすべてアナログ回路を採用し、完璧なサウンドクオリティを実現しました。また、Fluid Time MKIIは強力なバッファ回路を内蔵し、ギターなどからの原音もバッファ回路を通りますので、ライブやリハーサルなど多くのケーブルなどで信号の干渉が起きやすいような状況でも、高域の伸びやエア感のロスがないピュアなサウンドをキープできます。
Fluid Time MKIIのコントロール系はデジタル・シグナルコントローラーで構成され、一般的なBBD方式によるアナログディレイを遥かに超える豊富なエフェクトバリエーションを作り出せます。Fluid Time MKIIならデジタルディレイと同様のタップテンポやタップディヴィジョンも可能です。タップテンポ使用時には、BBDをローファイモードで動作させることができ、最長2秒までのディレイタイムを使用できます。タップディヴィジョン機能は、ディレイタイムを音符単位で設定できる機能です。また、バイパスモードは一般的なトゥルーバイパス、バッファバイパスに加え、トレイルバイパスも使用可能です。さらに、エフェクトループも装備していますので、ディレイエフェクトにコーラスやワウ、フランジャーなどの外部エフェクターをはさみ込むことも可能です。
Fluid Time MKIIの動作モードは、通常のノーマルモードの他に、デュアルタイム、テイクオフ、ステップオーヴァーという3種類のスペシャルモードがあります。デュアルタイムモードは、2種類のディレイタイムを個別に設定でき、演奏中に2種類を自在に切り替えることができるモードです。テイクオフモードをオンにすると、ディレイのフィードバックが最大になり、スペイシーなエフェクト空間を演出できます。ステップオーヴァーモードはエイリアンがしゃべっているかのような、少し変わったタイプのエフェクトになるモードです。テイクオフ、ステップオーヴァーの両モードは、ステージでのギミックとしても最適です。
Fluid Time MKIIは強力な外部コントロール機能も内蔵しています。CTRL/CVジャックを使用することにより、バイパスのオン/オフやタップテンポ、スペシャルモードのコントロールが行えます。また、CVペダルやCV機器でディレイタイムのコントロールやスペシャルモードのオートトリガリングやパラメーターのコントロールも行えます。
Fluid Time MKIIは使用パーツの選定もこだわりました。プロスペックのトーンと最高の信頼性を実現すべく各種パーツは高品質のものを厳選し、プリント基板に至ってはミルスペックレベルのものを採用しています。
プロギタリストはもちろんのこと、プレイ歴の長いギタリストや、新たなエフェクトサウンドを求めるプレイヤーに捧げる1台、それがFluid Time MKIIです。