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TOP画面GibsonES-335徹底比較

■ナッシュビル製
Gibson Custom Shop Historic Collection 1959 ES-335 Dot Reissue Faded Cherry

[Specifications]
●ボディ(トップ、サイド、バック):プレイン・ラミネイテッド・メイプル ●ネック:1ピース・マホガニー ●指板:ローズウッド ●ネック形状:1959ラウンデッド・ネック ●ナット幅:1 11/16インチ(42.86mm) ●ピックアップ:'57クラシック×2 ●コントロール:2ヴォリューム、2トーン、ピックアップ・セレクター・スイッチ ●ブリッジ:ABR-1 ●テイルピース:ストップ・バー・テイルピース ●ペグ:クルーソン・タイプ(キーストーン・プラスティック・ノブ) ●フィニッシュ:エボニー、ヴィンテージ・サンバースト、フェイデッド・チェリー、アンティーク・ナチュラル

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バンブルビー・タイプのコンデンサー

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ナッシュビル製を示す、fホール内部のラベル

 ラリー・カールトンが約4年ぶりの単独アルバム『プレイズ・ザ・サウンド・オブ・フィラデルフィア』を携えて、来る2011/4/8(金)~4/12(火)にBlue Note Tokyoにおいて来日公演を果たすことになった。カールトンと言えば、松本孝弘とのコラボレーション・アルバム『TAKE YOUR PICK』がグラミー賞において、最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞したことも記憶に新しい。また古くからのファンであれば、[Mr. ES-335]というニックネームや名曲「Room 335」でお馴染みなことであろう。そんなカールトンにちなんで、彼の愛器として知られるギブソンES-335を本頁ではフィーチャーしてみたい。(ラリー・カールトン シグネチャーES-335一覧

 現在、ギブソン社ではES-335を筆頭とするアーチトップ・モデルは、ギブソン・カスタムのもとで生産/販売されているのだが、同じカスタム・ラインの中でもナッシュビル工場製のものとメンフィス工場製のものがラインナップしている。おそらく多くの人が、「この両者の違い」について、気になっているのでは!? そこで、このページでは試奏レヴューという切り口で、Made in NashvilleとMade in Memphisを検証したいと思う。試奏はギタリストのミサワマサヒロ氏にお願いした。<このページは2011年現在の記事です。現行品と仕様が異なる場合があります。予めご了承ください。>

【ミサワマサヒロ:プロフィール】
音楽学校メーザー・ハウスにて、矢堀孝一氏に師事。ギブソン・ジャズ・ギター・コンテストのバンド部門にて優勝を果たす。その後、レコーディングやライブのサポートなどで活躍し、現在は女性ヴォーカルを含めた5人編成のバンド、パスピエにて活動中。さまざまなデモ演奏でも活躍するギタリスト。

【試奏環境】
●アンプ:Roland JC-120、●エフェクター:BOSS SD-1

 ミサワマサヒロ氏が今回試奏するギターを求めてイシバシ楽器渋谷店へ。そこで彼が選んだ2本がこれだ! 選んだ2本は共に、指板のポジション・マーカーがドット・スタイルの1958~1960仕様。チェリー・フィニッシュのものがナッシュビル製、ナチュラル・フィニッシュのものがメンフィス製となっている。2本の違いをスペック的に見ると、使用している木材はナッシュビル製の方が若干グレイドが高い。また電装系パーツにおいては、コンデンサーがナッシュビル製にはバンブルビー・タイプ、ナッシュビル製にはディスク型のセラミック・タイプが搭載されているなど、少なからず違いが見られる。外見上で両者の違いを判断するのは非常に難しい。最も確実な見分け方は、6弦側のFホール内に貼られているオレンジ・ラベル内に[Nashville]もしくは[Memphis]と表記されているので、ここを見るといいであろう。

【ナッシュビルorメンフィス】

 このふたつのうち、どちらを選ぶべきかを決めるのは、動画内でも語られているとおり、非常に難しい。ナッシュビル製に比べてメンフィス製は廉価モデルではあるが、ギブソン・カスタムショップ製の名に恥じないクオリティの高さを誇示している。予算を度外視して選べるのであれば、ナッシュビル製、メンフィス製ということを頭から消し去り、店頭にあるギブソンES-335を片っ端から弾いて、気に入ったものを選ぶのが一番の良策ではないであろうか。

■メンフィス製
Gibson Custom Shop ES-335 Fat Neck Antique Natural

[Specifications]
●ボディ(トップ、サイド、バック):プレイン・ラミネイテッド・メイプル ●ネック:1ピース・マホガニー ●指板:ローズウッド ●ネック形状:1959ラウンデッド・ネック ●ナット幅:1 11/16インチ(42.86mm) ●ピックアップ:'57クラシック×2 ●コントロール:2ヴォリューム、2トーン、ピックアップ・セレクター・スイッチ ●ブリッジ:ABR-1 ●テイルピース:ストップ・バー・テイルピース ●ペグ:クルーソン・タイプ(キーストーン・プラスティック・ノブ) ●フィニッシュ:アンティーク・レッド、アンティーク・ナチュラル、アンティーク・エボニー、アンティーク・ヴィンテージ・サンバースト

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ディスク・タイプのセラミック・コンデンサー

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メンフィス製を示す、fホール内部のラベル

【Brief history of Gibson ES-335】

 まずは予備知識として、Gibson ES-335の歴史を簡単に振り返りたい。誕生したのが1958年。ギブソンはもともとアーチトップ・ギターにおいては、1922年に発売されたL-5から今日まで、業界トップの立場を守り続けてきた。そんな同社がアーチトップ・ギターを様々な形で進化させて辿り着いたモデルがES-335と言っていいであろう。それまでのアーチトップ・ギターから改良されたところを列挙すると:

1) 弾きやすさを追求し、ボディを薄型(Thin Line)に改良
2) エレクトリック化に伴い、ハウリング対策として、合板材の使用
3) ボディ内中心部に木製のブロックを配したセミ・アコースティック構造の採用
4) ハイ・ポジションへのアクセスに優れたダブル・カッタウェイ・シェイプの採用
5) セス・ラヴァーが開発し、1957年に実用化されたハムバッキング・ピックアップの搭載
6) テッド・マッカーティが開発し、1954年より実用化されたチューン・オー・マティック・ブリッジ&ストップ・テイルピースの採用

 上記6個の項目の中で最も革新的だったのが、3)の「セミ・アコースティック構造の採用」であろう。この試みの意図としては、ギブソン伝統のアーチトップ・ギターのフィーリングを残しながらも、ソリッド・ギターのサウンドを手に入れることで、これに 4)? 6)の事項が加わったことで、完成度がグッと増した。クリーン・トーンではアーチトップ・ギターさながらの色気あふれるウォームな音色を奏で、アンプをオーヴァードライブさせればレス・ポールのようなストロング・トーンを出力してくれる。まさに万能で、あらゆるジャンルの音楽にも対応可能なヴァーサタイルなモデルが誕生したのである。

 以下に挙げた有名ギタリストの使用例を見ても、ES-335がいかに多方面のジャンルに使われてきたかがわかるであろう。

●チャック・ベリー → ロックン・ロール
●B.B.キング → ブルース
●エリック・クラプトン(クリーム) → (ハード)ロック
●ラリー・カールトン → ジャズ/フュージョン

【Dot or Block Position Marker】

 1958年にデビューしたES-335は一度も絶えることなく今日まで続いたロング・セラー・モデルである。50年以上に及ぶ歴史の中で、何度かマイナー・チェンジが行なわれたが、その中で特に人気が高く、現在生産されているモデルの土台となっているのが、下記の2つの時代である:

1) 1958~1960:Dot Position Marker、Long Pickguard
2) 1962~1964:Block Position Marker、Stop Bar Tailpiece

 初期仕様の 1)は、サンバースト・レス・ポールと同様の年代で、P.A.Fピックアップを搭載ということもあり、コレクターズ・アイテムとして人気が高い。一方の 2)はネック・シェイプがスリムで弾きやすく、プレイヤーからの評価が高い。ちなみにクラプトンが愛用していたのが1964年製のチェリー・レッド・フィニッシュ。ラリー・カールトンが初期に使用していたのが1969年製のサンバーストで、この時期のものはトラピーズ・テイルピースが本来採用されているが、彼のギターはTP-6に取り替えられている。  ちなみにこの2つの年代を現行商品と照らし合わせると以下のようになる:

1) 1958~1960:ES-335 Dot Plain、ES-335 Dot Figured、
        ES-335 Dot Fat Neck、1959 ES-335 Dot Reissue
2) 1962~1964:ES-335 Block Inlay、1963 ES-335 Block Reissue

【ESシリーズ現行モデル】

 ESシリーズはギブソンUSA名義のモデルは存在せず、カスタム・ラインのみの扱いとなっている。現在ナッシュビル製とメンフィス製のものが共存しているわけだが、その振り分けは前者のものが後者より高価で、上級機種としてカテゴライズされている。それぞれの工場で作られた代表モデルは以下のとおり:

●ナッシュビル:Gibson Custom Shop Historic Collection
1959 ES-335 Dot Reissue(当記事にて紹介)
1963 ES-335 Block Reissue
●メンフィス:Gibson Custom Shop
ES-335 Dot Plain
ES-335 Dot Figured
ES-335 Dot Fat Neck(当記事にて紹介)
ES-335 Block Inlay

 続いて、ナッシュビル工場とメンフィス工場の簡単な歴史を以下にまとめてみた。

【ギブソン・ナッシュビル】

 テネシー州の州都であるナッシュビルは音楽スタジオが並ぶミュージック・ロウや、カントリー・ミュージック好きなら知らぬ人はいない公開ライブ音楽番組グランド・オール・オプリなどが行なわれていることで有名だ。またギターにおいても、世界的な権威として知られるジョージ・グルーンのお店、グルーン・ギターズがあり、まさにアメリカきっての音楽街である。

 ギブソンはもともと生誕地であるミシガン州カラマズーにおいて生産を行なっていたが、1975年にナッシュビルへ移転してきた。以後、ノーリンから現在のヘンリー・ジャスコヴィッツ率いる経営陣に代わった今もメイン工場はナッシュビルに据え、生産を行なっている。

【ギブソン・メンフィス】

 ナッシュビルと同じくテネシー州にあり、州の中で最大の都市でもあるメンフィスもまた音楽の都として有名だ。エルヴィス・プレスリーやマディ・ウォーターズ、ロバート・ジョンソン、B.B.キングなど、この都市から数知れないほど多くの有名ミュージシャンが巣立った。

 ギブソンは1975年にナッシュビルを拠点にして以降、1987年にモンタナ州ボーズマンに第2工場を設立し、アコースティック弦楽器の生産を行なうようになる。そして1999年に第3工場としてメンフィスが候補地として選ばれた。このメンフィス工場では、ESシリーズを筆頭とするアーチトップやセミアコの生産を主に行なっている。またギター工場としての役割の他、ライヴ会場やミュージアム、専門ショップといった施設も備えている。

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